godlh
はりきる
「秀郎?」
気配が感じられない理科室を不思議に思った惟は、声を掛けながら扉を開けた。
いない。
放課後の理科室は、ふたりだけの場所だった。だから、ひとりになる事もたまにあった。けれど、今日のひとりでいる感覚は、いつものそれとは違っていた。
「秀郎?」
いないとわかっているのに、もう一度確認した。
当然、返事はない。惟の声が余韻として、理科室にゆっくり溶けていった。
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