天の川に浮かぶ島
 岸辺まで来ると二人はゆっくりと船を出した。

 島の反対側では、誰もいなくなった五色島の下に、隠れるように夕日が沈み、小高い丘に一本だけ残された短冊のついた竹の背景に、一つ二つと星が現われはじめた。

 中天を見上げれば、そこはすでに満天の星空。

「夏彦。」

「なんだ?」

「この星空の果てにはね、西の果てに黄泉の国が、東の果てに生者の国があるって知ってる?」

「仏教のなんかだろ?聞いたことはある。」

「ここがもし夏彦の言うとおり天の川の中心で、私たちが天女の羽衣にしがみついた死に底ないだとしたら」

 夏彦は詩織がみなまでいうまえに、口を開く。

「そうだな。俺たちは東へ行こう」

 二人が羽衣島を出発してしばらくの後、天の川を横切るように、西から東へ、薄く透き通るような雲がたなびきはじめた。

 それはまるで、生死を支配する天帝の目から、羽衣島の岸辺を東に出発した二つの星を隠すようだった。

 今宵、二人の願いはきっと叶えられるはず。


 (短冊)
 今日も明日も明後日も、二人でずっと、幸せな時を過ごせますように。詩織・夏彦

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