哀しみの瞳

剛との友情

剛は思っていた。

あの家出をして来てから、今までの理恵の事を…
その頃は、まだまだ心細さの残る、一人では何も出来ない風に見えた理恵だった。
なのに、今はどうだ!壮絶な戦いの末に、子供を出産し、あれよあれよの5年間………


その間、俺と言えば、整備工場に就職し、一応、会社の寮に一人暮らしをしてはいるが、まだまだ…自立した大人の男には、程遠い。

ばあちゃんには、相変わらず、色々と世話を焼かせている。


それに比べ、理恵と言えば、もう秀一とばあちゃんを家族とし、細腕一本で頑張っているではないか!


俺は、たまに帰っては…

(剛)
「吉川?本当に、お前一人で、秀一を育てて、大丈夫なのか?」って
何遍聞いても…


(理恵)
「私だったら、大丈夫!!!」って、俺は、そう言う意味じゃなく、思ってる事が通じないもどかしさに…ばあちゃんに背中叩かれっぱなしだし………
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