哀しみの瞳
秀一10才 由理5才~

(秀一)
「ただいまー
戻りました!ああっ、おばさん!ただいまー、今日は、いつもより、早く終わったので、僕が保育所に由理を迎えに行きますから!」


(美佐子)
「あらっ!今日は、秀さんが、お迎えの日だったんじゃ…」


(秀一)
「いえっ、僕が行きますから!そのぅ、戻ってきたら、僕が行った、と伝えておいてください。」



(美佐子)
「美紀ちゃん…どう思う?秀ちゃんって、未だに秀さんの事、お父さんって言わないのよ……」


(美紀)
「未だに、何処かよそよそしい所あるしね?」



(美佐子)
「姿、顔立ち、頭の良さといい、何処から見ても親子なのに。まるで親子になってないわよねぇ!今だに」


(美紀)
「本当!どうしたら、自然な良い親子になれるのやら!秀ちゃんの方が何か意識的にかたくなになってるみたいにみえるけど……」


(美佐子)
「由理ちゃんの事でも、二人たまに張り合ってる時もあるわよね?」



(美紀)
「最後は、秀さんの方が、折れてるみたい。」



(美佐子)
「秀さんは、何事においても、押し付けをしたくないのよね!
秀ちゃんの思い通りにやらせたいと思っているんじゃないかしら?」



(美紀)
「結局は、秀さんの方が、器が大きいのよね!さすがの秀ちゃんも、まだまだってとこかしら?
ところで、母さん?秀ちゃんって、何時勉強してるのかしら?何時も、由理ちゃんの面倒ばかり見てて。母さん勉強してるとこ、見たことある?」



(美佐子)
「この間、由理ちゃんが、早くに寝ちゃったとかで、リビングで、何かの本を読んでたわよ!本は大好きみたいだから。」
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