哀しみの瞳
武も一緒に理恵を送ると言いだし仕方なく武と二人で送ることになった。偶然武の家が理恵の家の近くだったことから、これからの僕と理恵の人生にも大きく関わってくることになる。武は本当に良い人間だと思う。僕に余計な事は言わないがかなりいつも核心を突いてくる。 共に同じ高校に入り落ち着いてきたある日の事、突然武は僕に聞いてきた。「理恵ちゃんにとってお前は何なんだ?」「ええっ、なんだよ、いきなり…従兄弟であり兄でもある」僕の心を見透かすように続けて聞いてきた。「お前は理恵ちゃんをどうしようと思っている?」「どうしようって…俺は理恵をずっと守ってやろうと思っている」「へぇぇぇ。従兄弟として、兄として?」「……」「じゃぁ、まぁ、お前のことだ、もう計画しているんだろうけど、何になろうと思ってる?」「弁護士!」「ええっ、弁護士?ってなんでまた、俺はお前は高校の数学の教師にでもなるのかと思ってたよ…くそっ外れたかぁ!」「弁護士になって理恵をあらゆる事から守る。あいつは体は小さいし身体は弱いし絶対一人にはしておけない」「従兄弟として、兄としてだよな?」その事を極端に強調したのには訳があり後々分かる時がやってくる。 理恵がようやく中学生になった。中学生になった理恵は少し人と話せるようになってきた。友達もできたらしい。名前は沙矢という。まぁピアノ教室でめぐり会いクラスも一緒になり意気投合したらしい。理恵の弱いところもちゃんと理解し付き合ってくれるらしい。今どき珍しい素直な女の子だ。ちなみに今では理恵はピアノ教室は一人で通っていて沙矢と帰りは一緒らしくたびたび僕の家に寄って行く事もあった。とある日。ピアノの帰りと言って二人で僕の家にやってきた。たまたまその日は武が来ていた。「やぁ、理恵ちゃん、久し振りだね。相変わらず白くて綺麗だね。元気?」「はい…」「またしても相変わらず声小さいしぃー」(秀)「ああっ、沙矢ちゃんも来たんだ」「はいっ、もう私の事、覚えていただいて、どうも」「理恵の数少ない友達だからね、いつも仲良くしてくれて有難う」
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