哀しみの瞳
三人が、手紙を読み終えた。
武は涙ぐんでいるように見えた。


(沙矢)
「何で…何で一人で、行っちゃったの?私も、武さんも、秀さんも、居ないとこへ?今頃どれだけ、心細く思ってるか…」

武に寄り掛かり抱き留められている。


(秀)
「一人じゃない。理恵は一人じゃないんだ!」


(沙矢)
「えええっ…」


(武)
「一人じゃないって?どういう事だ?」




(秀)
「理恵のお腹の中には、俺の…子供がいる!」



(武)
「ええっ!なんだってぇ!秀っ、お前は、何て事したんだっっー」

秀を思いっきり、殴った。


(武)
「理恵ちゃんは、あんなに体の弱い子なんだぞ!お前がその事一番よく知ってて…しかも、今は一人で家出したのだって、大変なのに…妊娠してるなんて…どれだけ理恵ちゃんを苦しめたら気が済むんだ?バカヤロウ―!!!」
もう一度殴りかかろうとした。っとその時…


(沙矢)
「待って!武さん!違う!違うわ!理恵は…理恵はだから、こんな事できたのよ。強くもなれたんだと思うわ!でなきゃ、秀さんと、離れ離れになると分かった時にもう、今までの理恵だったら、死んでるわよ!けど、きっと、秀さんの赤ちゃんが、愛する人との子供がいたから、理恵をここまで強くしたの!」


秀と武は、ただ呆然として立っている。



(秀……
理恵のお腹の中に、俺の子供が?
理恵?なおさらのこと。俺はどうすればいい?何故一人でそんな大事なことを勝手に決めたんだ?)



(武)
「理恵ちゃんが、この中で一番、芯の強い子だったってことか?以外とな」


(沙矢)
「そうね。きっと短い間に理恵は、いろんな事を考えさせられて、徐々に強くなっていったのね!私達にも相談できずに、一人で苦しんだ末に出した結果なのかも」


手紙を握り締めて、声を出さずに泣いている秀に、二人は掛ける言葉が見つからなかった。
< 92 / 296 >

この作品をシェア

pagetop