危険なアイツと結婚生活
蒼は中学校でギターを始める時、たまたま馬鹿fiveを見つけてファンになったらしい。
当時馬鹿fiveはまだ高校生だった。
でも、その世界に一瞬で入ってしまったと。
まるで、あたしが一瞬でFの世界に入ってしまったときのようだ。
「はぁー。
あたしの彼氏もおとなしく誘いに乗れば良かったのに」
「え?」
「だって、戸崎さんの旦那さん贔屓のグループですよ?
今頃歯をくいしばって悔しがっていますよ」
「そうかなぁ……」
でも、蒼が言うに、馬鹿fiveは癖のあるバンドらしい。
ようするに、ふとももフェチや太ったおっさんのようなギャグバンドだ。
カッコイイFのファンの中山さんが、そんなものを好きだとは到底思えなかった。