好きです、先輩。

君との出会い。

3月23日。


「忘れ物ない?」


お母さんが最終確認する。


「うん、ない。」


私は素っ気なく、でもいつもより素直に返事する。


今日は私の引っ越しの準備。


中学校から陸上をやっていた私は中3の時に全国大会に出ることができ、高校でも陸上を続けると決めた。


でも、地元の高校にはほとんど指導者がおらず、中学時代の顧問の先生に相談したところ、県外に優秀な先生がいると教えてくれた。


私は悩みに悩んだ。


地元を離れ、親のいない場所で生活していけるのかと。


でも、やっぱり陸上で強くなりたいという気持ちが大きくて


私は県外に行くことを決意した。


親も納得してくれた。
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