砂糖菓子戦争
脳みそが痺れた感覚がした。
目の前の、クラスメイトが何を言っているのか一瞬理解ができずにいた。思考停止とはまさにこのこと。
それからはっと理解した。理解したと同時に怒りが頬を熱くした。

「俺は、彼女の容姿が、好きなんじゃない」

それは静かな怒りと大きな失望だった。周りの奴の彼女への評価は、これだけなのか。
たった、これだけ?

「なんだよ、そんなことないだろう」

クラスメイトは不貞腐れながら自分の机と戻っていったが、俺はどうにもこうにも煮え切らない気持ちになり、ふと窓に視線を向けた。

ぱちり。

春夏冬さんと目が合った。何てことだ。あの会話を彼女に聞かれてしまったかと思うと自分を恨まざる負えない。
どう思われてしまったのだろう。どう感じてしまったのだろう。焦りと困惑が俺の顔にじわりじわりと出る。

彼女と見つめ合っている時間が永久に感じられる。
彼女の目から目が離せない。

とてもとても綺麗なお顔。残酷なハードウェア。美しいハードウェア。

ふっ。と彼女は目線を違う方へと向けた。その瞬間俺は俺を保てずにそのままの体制でいた。
目が合って嬉しかったが、彼女は、彼女の瞳は、俺にこう訴えかけているように見えて仕方がなかった。


無理するな。と。



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