涙ドロップス 〜切なさを波に乗せて〜
大きな模造紙に、写真が並べて貼り付けてあった。
その模造紙がクラス前の廊下の壁に、セロハンテープで留められた。
写真の数は100枚以上あった。
渡辺さんはこんなに撮っていたのかと、私も少し驚いた。
写真の前は、すぐに人だかりになる。
見たいけど見れそうになく、私と夕凪は後ろに下がって待っていた。
ワイワイ賑やかな集団の中から、
驚く男子の声が響いた。
「はあっ!?
これ、ヤバイんじゃね?」
他の男子も言う。
「上條、こっち来い!
お前、これマズイって!」
上條君が人を掻き分け、前に出る。
心臓がドキンと跳ねた。
上條君にとってマズイ写真とは、
もしかして……
誰かが面白がってはやし立てた。
「浮気、発覚〜
証拠写真も、流出〜!」
「朝比奈さんて、やっぱ二股?
上條とも陰で付き合ってる?」
もしかしてと思った勘は、
やっぱりという確信に変わっていた。
焦った私も、人を掻き分け前に出る。