涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「まだ……レイとおりたい……」



まだ、レイと一緒にいたいよ。

離れたくないよ……?


ここが本当に二人だけの世界ならいいのに。

時間さえも止まってしまえばいいんだ。


だってそうすればレイとずっと一緒にいられる。



「サク……」



再びベンチに腰をおろしたレイが一直線に私を見る。


変なこと言って困らせてるのは、わかってる。

レイには真理ちゃんがいることも、わかってる。


ちゃんとわかってる……のに。


この気持ちは抑えていられない。



「レイ」



レイの瞳をまばたきもせずに、真っ直ぐ見つめる。

レイも、私を見つめ返してくれた。



……それはまるで自然だった。



そうすることが当たり前かのように、まるで磁石のS極とN極が近くにいればくっつくように。


自然に、くちびるを、重ねた。

頬には一筋の……涙。



……お願い。

今だけは、私たちを見逃してください。




罰ならあとで私が受けます。


だから、お願い。



時を、止めてーーーー…



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