涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


ランドセルとは別に、手に持っている袋の中を見る。


このチョコ、渡したいな……。



『うんまっ!めちゃうま!』



チョコに伸ばしていた手が止まる。


……へ?

って、あーー!!食べとるし!!


えりかちゃんからもらったクッキーを食べて嬉しそうにするレイに心底悔しくなって。


あまりに美味しそうに食べるもんやから、袋の持ち手をぎゅうっと握りしめた。



『サクも食う?』


『……食べん』


『いいけん食べてみーよ。美味いけん』



しつこくクッキーを私に渡そうとして来るレイにイラッとした。



『…っ食べんて言いよろー!!?いらんそんなマズイの!!』



差し出されたレイの手をなぎ払うように叩くと、ハートのクッキーが落ちて半分に割れた。


あ……


気まずい空気が流れる。



『なんばするとよ!!』


『…っレイなんか知らん!!もう帰る!!』



悲しそうな顔をしたレイにそう叫んでから一度も止まることなく家まで猛ダッシュした。


……サクは悪くない。

レイが悪い。


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