涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。
〈12〉夏いろのオモイ


色とりどりに咲く花畑にレイと二人でいる夢を見た。


花畑の端と端にいて、レイはずっと私に向かってなにかを言ってるんだけど、こちらには全然届かないの。



『え?なにー?聞こえんよ〜っ?』



でも確かにレイは私になにかを伝えようとしている。


……めちゃくちゃ怖いなって思った。


近くにいるのに、

全然遠くて、届かない。


もどかしくて、悲しくて、切なくて。


とても怖い夢だった。



「…んば!」


「本当に天使っておるんやねぇ……」



ベビーベッドでニコニコしながら、手足を暴れさせている我が弟をうっとり見つめてる私の後ろで美紀さんの笑い声がした。


……流星と、名ずけられた弟。


病院に向かう車中で、叔父さんと美紀さんが一筋の流れ星を見たから、この名前にしたらしい。



『姉ちゃんは夜、弟は流れ星なんて、ロマンティックな兄弟やなぁ?』



なんて、叔父さんが言ってて美紀さんと3人で笑った。


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