涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。



目を見開いてレイが静かに笑った。


……やっぱり私は、笑うレイが好きだ。
笑顔のレイが、好きなんだ。


その笑顔に会いたかったんだ。



「あっ、二人とも早かねぇーっ!」



元気な真理ちゃんの声が聞こえた。


階段の方を見ると私服で可愛く着飾った真理ちゃんがこちらに向かって笑顔でやって来ていた。



「咲夜ちゃんはお化粧とかせんと?」


「いや……待たせたら悪いけんと思って」


「偉いねぇー。あ、そこ譲ってくれん?」



レイの隣を指差す真理ちゃんに慌てて席を譲った。


満面の笑みで「ありがとっ!」とレイにくっついて座る真理ちゃんは本当にレイのことが好きなんやなって思う。


……そっちにもベンチあるじゃん。


わざわざ私が座る場所に座る意味わからんっちゃけど。


不服に思いながらも、少し間がある隣のベンチに腰を降ろした。


でも心なしか心は晴れやかだった。


……レイと、話せた。


頬が自然とゆるむ。
吹き抜ける風はすごく優しかった。



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