「近未来少年少女」
そんな俺の気持ちを無視して、ミノルは話し続けた
『出口は確かに存在するよ。
でも今は教えられない』
弱々しかったミノルのオーラがどんどん戻っていく
『それとユウキは記憶がなくなっていくのが怖いんでしょ?だから焦ってる、違う?』
『………』
『でも僕に言わせれば君はそれ以前の問題だよ』
『それ以前……?』
『とにかく記憶がなくなっていくのは仕方ないと思ってよ。郷に入っては郷に従うってことわざがあるでしょ?』
ミノルの言葉は違和感だらけだ。
その口から出る事全てが謎で、俺は置いてきぼり。そしてモヤモヤする気持ちだけが増えていく。
『それじゃ、僕はもう行くよ』
『え……ちょ、ちょっと待てよ。まだ聞きたい事が……』
慌ててミノルを引き止めようとしたけど、その表情を見て俺の手が止まった。
『ユウキ、君は僕に沢山聞きたい事があるみたいだけど、僕は君に聞く事はない。どういう意味か分かる?』
なんでそんな悲しい顔をするんだよ。そしてなんで俺はこんなにも心苦しい気持ちになるんだ………?
『君に興味がないんだよ………
今の君にはなにもね』
引き止めなくちゃ…………。
今ここで手を伸ばせばミノルを引き止められる。
そう頭では分かっているのに体が動かない。
ミノルの言葉がズシッとのし掛かって体が重い。