「近未来少年少女」



俺は座り込んだまま、下を向いて目を閉じた。


この世界の情報を頭に入れると今まであった記憶が薄れていく。つまりミノルとの記憶を探せば探すほど、大切な何かを失うって事だ。

でも、ミノルとの記憶を思い出さないと出口は永遠に見つからない。


情報を入れれば進行は早まって、恐れて何もしなければ記憶が消滅するのをただ待つだけ。

ここはそんな理不尽な世界なんだ。


『はぁ………………
もう何も考えたくない………』

どうにも出来ない事をどうにかしようとしてる事
事態が間違いだったんだ。

この世界に来た時から、
ここの住人になった日から、

もう結果は決まっていた。


俺は目を閉じたまま、暫くうつ向く事しか出来なかった。
………………………………………………………
……………………………




『ねぇ、あんたにとって1番辛かった事って何?』


まただ。また頭の中で声がする感覚。

しかも今日はいつもとは違う声で、映像まで俺の中に流れこんでくる。


俺は夢を見てるのかな………?
もう、なんだっていいや…………………


< 175 / 203 >

この作品をシェア

pagetop