「近未来少年少女」
┗追憶の街
『カ、カラクリってなに……?』
俺の心臓が早く鼓動する。
『この世界はな…………』
リーダーがゆっくりと口を動かした。それがとても長く感じて、ドクンドクンと心音がうるさい。
『人の記憶で作られてるんだよ』
『ひ、人の記憶?』
さらにリーダーは驚く事を話し続けた。
『人の記憶、つまりここの住人の
俺達の記憶だ』
この世界が住人の記憶で作られてる?
何がなんだかさっぱり分からない。
『………この世界にあるもの全て。
店も建物も商品も全部俺達の記憶の中にある物なんだ』
リーダーが確信もなく、こんな事言う訳ない。
それは分かっているけどやっぱり………唐突過ぎて理解が難しい。
『簡単に言えば、俺達が今まで行った事がある店や見た事がある物って事だ』
つまりリーダーの話しによると、
この世界はここの住人達の記憶で成り立っている。
記憶というものは全てを記憶している訳ではない。
1度行っただけの店、
車で通っただけの景色、
雑誌やテレビで見ただけの風景、
その一瞬も“記憶”
だけど人は大事な事や重要な出来事以外は
だんだん忘れていくもの。
その一瞬の事や自分自身が忘れてしまっている記憶などから、この世界は出来ているとリーダーは教えてくれた。