晴れ、時々、運命のいたずら



「何、この人の多さ!?」



渋谷駅の改札口を出て、母親の千夏はスクランブル交差点を行き来している人の波に目を丸くして呆然となった。



「まんのう町の人口より多いかもね?」



隣で有紗が笑いながら答える。


朝一番にJRで瀬戸大橋を渡り、新幹線に乗って東京にやって来た。


平日の昼前だと言うのに、渋谷駅前はサラリーマン、学生、ベビーカーを押した主婦等、様々な人達で溢れかえっている。


そして視線を上に向けると、今まで見た事もない高層ビルやデパートが立ち並び、頻繁に電車が往来している。



「あ!あれハチ公じゃない?」



有紗が指差した先には待ち合わせしている人の間から銅像が見え隠れしている。



「私もテレビで見た事ある!…ハチ公って意外に小さいのね。」



千夏はハチ公を眺めながら少しがっかりした表情を見せた。



「で、母さん。ここからどこに行けばいいの?」



「えっとねー。」



鞄から地図を取り出して広げてみる。



「確か、明治通りを原宿方向に歩いていけばいいとは言われているけど…。」



千夏は地図の向きをあれこれ変えながら、どちらに行けばいいのか確認している。



「あの、すみません。明治通りってどっちですか?」



しびれを切らせた有紗が傍を通りかかった学生に尋ねた。


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