晴れ、時々、運命のいたずら



事務所の別室。


愛姫はタブレットとにらめっこしている典子が何を言い出すのかじっと向かい合って待っている。



「とりあえず、来月の高崎イベント。これは、まぁ仕方なく入れたものなのでそれほど重大じゃないわね。」



(仕方なく…。)



島根なら絶対言わなかった言葉だ。



「その翌日からは…、朝8時に横浜のスタジオでテレビ収録。11時と14時にラジオ出演。20時に今度は千葉ね。」



タブレットを触りながら淡々と伝える。



「その後は、またラジオが3本あって、テレビも合わせて収録。それから…。」



「ちょっと待って下さい。」



思わず、愛姫が声を掛ける。



「そんなに仕事詰め込むのですか?」



「悪い?」



目を合わさず、タブレットを覗いたまま答える。



「愛姫ちゃん、アイドルとしてトップになりたくないの?」



「…なりたいですけど。」



「ならば、仕事をこなす前から文句言わないで頂戴。私は、社長から愛姫ちゃんを1人前にするように言われているの。はっきり言って、前任のマネージャーが仕事を取ってこなかったから中途半端になっているの。分かる?」



(中途半端って…。)


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