学園マーメイド



「罪悪感とか、責任とか、もうそんなのどうでもいいよ!そんなんで傍にいられなくなったり、辛いのに支えてやれない、声もかけてやれないなんて。……そんなの悲しくなるだけなんだよ……。そんなもんの所為で俺と会わなくなるなら、捨ててよ、そんな感情!」



荒げた声は部屋の壁にぶつかっては反響するように大きくなって返ってくる。
彼の瞳は私を捕らえて離さない。
一つ一つの言葉が、痛い。
やはり彼の言葉は魔法のようにすんなりと私の心臓を通り、体中に浸透し始める。
あっという間に陸嵩しか見えなくなる。



「好きなんだよ、蒼乃……」



先ほどの威勢のいい声が嘘みたいに弱弱しい声。
だけど、何よりもその声が心の奥底を刺激した。
どくり、どくり、ゆっくりにでも確実に脈を打つ心臓。



「でも、そんなのもどうでもいい……。俺は蒼乃の傍にいられれば友達でも、それ以下でも以上でも……、なんでもいい。だから……っ」



濡れた瞳からゆっくりと雫が零れ落ちた。
伏せるようにして閉じられたそこから何粒も、何粒も零れ落ちる。
広がる熱い思い。
初めて感じるこの思い。
伝えたかったんだ、ずっと。この気持ちの理由を知った時。
この気持ちの正体がわかったときから……ずっと。



「陸嵩」



私は彼の名前を愛おしげに呼び、抱きしめる。
水面が音を立てて揺れた。



「あたし、陸嵩のこと好きだ。陸嵩に恋をしている」



体に感じる陸嵩の体温。




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