学園マーメイド
Breath...16


Breath...16



年が開け、あの家から解放された体は学園へと戻った。
クリーンが終了したとあってなるほど、中は年明け前よりも綺麗だ。



「蒼乃ー、何してんの?そろっと体育館行かないと。始業式始まるよ」



制服のブレザーに腕を通すと、ドアからひょっこりと陸嵩の顔が見えた。



「あ、うん。行くよ」
「ラビ先輩と梅は先行くって」
「わかった」



最後に襟元と前髪を直して鏡を見る。
制服よりもジャージが似合う、と前に雪兎に言ったら笑われた。
あれはどう受け取ったらいいのだろうか(きっと悪い意味だな)。
陸嵩の再度の催促によって私はせかせかと部屋を出た。



「時間大丈夫?」
「ん、平気。歩いてもちょっと余裕あるよ」



廊下を歩きながら話すことが自然だなんて、昔の自分が聞いたらびっくりだ。
誰かと話す以前に誰かが話しかけてくることなんて皆無に等しかったわけだし。
そう思うと、やっぱり不思議な気分だ。



「あ、そう言えば聞いた?」



陸嵩がぱっと顔を明るくして声をあげた。



「なに?」
「2月のいつだったけな……、ま、いいや。2月の頭でこの学園創立100周年迎えるんだって!」
「へぇ」
「もう!もうちょっとリアクション大きくしてよ」



ぷくっと頬を膨らましたかと思うと、すぐにケラケラと笑い出す。
つられて笑ってしまうのも、もう日常化してしまっている。




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