学園マーメイド
Breath...17


Breath...17




――――2月中旬。

ゴォォォオォォォオ、飛行機が地上を離れ空へと飛び立つ。
それをじっと見つめている陸嵩の頭を雪兎グシャリとかき回した。



「行っちまったなぁ」



頭をぐしゃぐしゃにされて、不服そうに雪兎を睨んだ陸嵩だったがそれを聞いて眉が垂れる。



「梅連れてこなくて良かったよ。あいつ絶対号泣するね」
「…………」
「ああ、蒼乃が爺さんに言った言葉聞いたか?“手術で死んだら後悔しますよ。私、これから世界で活躍する選手になりますから。だから、生きててくださいね”だって。尾神ってすげえ財閥なんだろ?その当主にそこまで言えるのはすげえよな」



俯いたまま無言の陸嵩を元気付けようと陽気な声を出す雪兎だったが、雰囲気は相変わらずのまま。
髪の毛をガシガシと掻き毟り、陸嵩の背中を軽く叩く。



「……んな顔すんなって!蒼乃だって会えないわけじゃない。会おうと思えば会えるし、あいつならでかくなって帰ってくるよ」



寂しい思いは隠せない。
空港で見送るときでさえ、笑顔が崩れないか心配だった。
震える口元はちゃんと“笑って送り出そう”と言う決心を砕いてしまうのではないかと冷や冷やした。
“やっぱり行かないで”なんて言える訳もなく。




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