キミと 夜空と 星空と。



「あ、そうそう。そこは宮崎に任せとくからいいんだよ」



携帯電話を右耳に押し当てながら、俺は人ごみの中をすり抜けるようにして歩いて行く。

最初は似合わなかったスーツも、今ではだいぶ着こなせるようになってきた。


俺は、28歳になった。

大学も卒業して、今は親父の会社で手伝いをしている。



天音さんとは・・・あの日以来、ずっと会っていない。



 不意に、1人の女の子とぶつかった。


大きなランドレスを背負った、小学校1年生くらいの、小さな女の子。



「ごめん!!大丈夫??」



しゃがみこんで、女の子の顔を見ながら俺は言う。

女の子が、少し嬉しそうにニコリと笑った。


「大丈夫だよ、おじちゃん」


すべての時が、止まったかと思った。


見覚えのある声、その顔。

俺は思わず、女の子に尋ねる。


< 179 / 183 >

この作品をシェア

pagetop