不器用なシンデレラ
 同席している彼女の母親と彼女に凄く睨まれているけど、もう溜め息しか出ない。

 これが終われば私は本田さんから解放される。

 でも、今日どこに帰ればいい?

 あっ、花屋の家でいいのか。

 もう私の事を怒る人はいない。

 本当に1人ぼっちになったんだもの。

 理人くんは、きっと詩音と上手くやってるに違いない。

 彼が私のことをまだ好きだと思ってるなら、メールくらいあるはずだ。

「この女性誰なんですか?」

 見合い相手の女性の言葉に、本田さんは待ってましたとばかりに口角を上げる。

「僕の彼女です。お腹の中に僕の子がいるので、明日にでも婚姻届を役所に提出する予定です。だから、あなたとは結婚出来ません。ごめんなさい」

「・・・・」 
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