不器用なシンデレラ
「俺、病気が治ったら花音ちゃんに告白する」

 圭吾はそう笑って言っていた。

 花音は俺にとってとても大事な女の子だったけど、自分のその気持ちに蓋をした。

 圭吾には言えなかった。

 だから、花音の事は徹底的に避けた。

 だが、病気の進行が早くて圭吾が彼女に告白する事は出来なかった。

 あいつは死んでしまった。

 そして、高校の卒業式の日、花音は俺に告白するために下駄箱の隅で俺を待っていた。

 彼女の顔を見れば、俺の事が好きなのはわかっていた。

 いくら俺が無視しても、花音は無邪気に俺を見つめてくる。

 曇りのない真っ直ぐな瞳で。

 その視線を気にしないでいるのにどんなに苦労したか、彼女は知らない。

「まさかお前まで進路が別れるのに俺に告る気じゃないだろうな」
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