不器用なシンデレラ
 雅代さんが死んだ?

 本当に?

 昨日あんなに楽しく食事をしたのに・・・・。

「残念ながらこちらに着いた時には、処置も間に合わなかったらしくて・・・・。今は霊安室でご家族の方と一緒にいるそうです」

「・・・ありがとうございます」

 受付の女性を見ずに、ただいつもの習慣で礼を言う。

 花音の事を考えると胸が痛い。

 すぐに霊安室に行こうとしてはたと立ち止まった。

 誰が葬儀屋や書類の手続きをする?

 今の花音に出来るわけがない。

 俺がやるしかないだろう?

 悲しみにくれる前に、嫌な現実が襲ってくる。

 その部分を俺が見てやらなくて誰がやる?

 冷静にならなければと思った。

 再度、受付に手続きの確認をし、数本電話をすると俺は霊安室に向かった。

< 206 / 358 >

この作品をシェア

pagetop