不器用なシンデレラ
「汚くなんかない。キレイだよ」

「・・・・」

 力が身体から抜けたのか花音がへたり込む。

 俺は棚からバスタオルを取り出すと、彼女の身体をくるんで抱き上げた。

「1人にしてごめん」

 小声で花音に謝り、寝室のベッドに彼女を運ぶ。

 すると、彼女は潤んだ瞳で俺に確かめるように聞いてきた。

「もう・・本当に汚くない?」
 
「ああ、キレイだよ」

 優しく微笑んで俺は花音の両腕にそっとキスを落とす。

「キレイだ」

 花音の瞳を見つめながら呟く。

 彼女が両腕を俺の首に巻き付けると、それが合図となってその夜俺達は互いを暖め合った。

 最初は優しくするつもりが、自分も感情の制御が出来なくなって明け方まで花音を求めた。
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