不器用なシンデレラ
27、溺愛  ー 本田要side
 俺の目の前には、何でもスマートにこなせる有能な部下がいる。

 それは、俺の幼馴染みの長谷部彩。

 男より格好よくタバコを吸い、男より豪快に酒を飲む女。

 仕事はたぶん、俺の次に良く出来る。

 本人に出世欲があれば、出世もしただろう。

 だが、今の彩には興味ないらしい。

 そんな彼女は恋愛に関してはとことん不器用になる。

 あんなに社内の男性を取っ替え引っ替えしてたのに、まさか本当に彼女が男性経験ないなんて思わなかった。

 売り言葉に買い言葉、どうして俺も軽く流せなかったのだろう。

「じゃあ、私が男知らないって言ったら手取り足取り教えてくれる訳?」

 彩のこの言葉が俺をおかしくした。

 自分でも何故だかわからない。

 普段から彩が他の男と帰る姿を見て嫉妬したのか?

 この俺が?

 来るもの拒まず、去るもの追わず主義の俺がか?
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