不器用なシンデレラ
「じゃあ、俺にお弁当作ってきてよ。お昼にお前いつも食べてるだろ?」

「あれは・・・晩御飯の残りとかだし、煮物ばっかで彩りとか綺麗じゃないんだけど」

「男が可愛い弁当食ってたら気持ち悪いだろ。それに、うちはお袋が和食苦手だし、煮物食べたいんだよ」

「・・・本当にそんなのでいいの?」

「ああ。だからって、朝早起きして凝ったもの作ろうとするなよ。仕事に支障が出る」

 ・・・私の思考が読めるのだろうか?

 早速明日から早起きして作ろうと思ったのに。

「・・・はい」

「昔からお前が頑張ろうとするとろくな事がないんだよ。普通でいい。自然体でいろ。それにしても・・・ひどい顔だな」

 不意に理人くんが私の頬に触れる。

「・・・・」

 驚きで声も出なかった。
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