不器用なシンデレラ
「大丈夫だよ。周りはみんな知ってる人だもん」

「・・・お前ね、世の中善人だけじゃないんだよ。やっぱり、しばらく家に泊まれ。俺の方がお前が心配で寝れない」

「理人くん、意外と過保護だね。でも、大丈夫。私はもう大人だよ。鍵だってちゃんと閉めるから」

 私がクスクス笑うと、理人くんに口を手で塞がれた。

「笑うな、馬鹿。大人だから逆に心配なんだよ」 

「・・・それ、意味わかんないよ」

「お前はわからなくていいの。そんなことより早く準備して」

「準備って?」

「お前が家に泊まる準備に決まってるだろ?従わないと強硬手段に出るけどいいの?」

 理人くんの目の色が変わる。

 なんだかこれ以上逆らってはいけない雰囲気。

「おばさんたちに迷惑かかるからいいよ」

「それなら心配ない。暇つぶしの相手が出来て喜んでるから、あの人」

「ちなみに強硬手段って何かな?難しい数式解かせるとかなしだよ?」
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