不器用なシンデレラ
 また理人くんに謝りながら、複合機の受注の数を打ち込む。

 1台が1-2百万するマシンなので数値を間違える訳にはいかない。

 理人くんのようなスピードで入力は出来ないけど、間違えないようにゆっくり数値を入力していく。

「そんなにゆっくりじゃ、デッドライン過ぎる。俺に貸して」

 そんな私を見て大きな溜め息をつくと、理人くんは私の担当の書類を何枚か手に取った。

 新人とは思えないスピードであっという間に入力していく。

「・・・ごめんなさい」

 自分が情けなかった。

 唇をぎゅっと噛みながら、理人くんに謝る。

 私の小さ過ぎる声は、彼には届かなかったかもしれない。

 彼と再会してから私は「すみません」か「ごめんなさい」という言葉しか彼に言ってない。

 こんなことなら同じ会社なんて入らなければ良かった。

 理人くんの少しでも側にいられるだけでいい。
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