SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~



「だから、言えなかったんだと思う。


一番大切にしたい存在だからこそ、―――。


裕木さん、あなたには言えなかったようだ。


本当の自分を知ったら、あなたが離れていくような気がするって、僕に打ち明けてくれたことがある。


このままでいたいなら、敢えて知る必要もないと思うよ。」



私が今してることは、―――。


飛鳥を冒とくしていることになるのかな。


故人の過去を暴くような…うしろめたさも確かにある。



だけど、―――。



『…あ、すみ…。


だい、やくんを、…お願い……。』



飛鳥の声が、頭の中に響き渡る。



『私が、…出来なかった、こと…。


あす…みが、してあげて…。


だいやくん…を…あいし…て、あげて…。


…だい…やくんを、…まも…って…。』



ねえ、飛鳥。


大哉を守るのは、私しか出来ないんだよね?


< 330 / 363 >

この作品をシェア

pagetop