SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~


もしかしたら、…。


この時、既に。


飛鳥は私が気付いてるって、知ってたんじゃないかな。



先生を交えて、3人で出かけることも多かったし。


お互いの視線を見ていたら、何となく…自然に伝わってくるものがある。


飛鳥が何も言わなかったから、私もあえて聞かなかった。



「従兄妹だからね。」



このフレーズは、飛鳥がよく口にしていた言葉。



無邪気に甘える妹を、しょうがないなぁと優しく見守る、兄。


そんな構図がちょっとわざとらしく見えることも増えてきて。


少し…違和感を、覚えながら。


だけど、何も言えなかった。


高3にもなると、何だかその話題に触れることすら出来なくて。


私が思っている以上に、二人が踏み止まっている理由は大きいのかな、なんて勝手に憶測して。


幼い頃から一緒に育ってきた環境が、邪魔をしてるのかもしれない、なんて。


私はまだまだ幼かったのだ。


この二人が付き合ったら絶対お似合いなのに、なんて無責任にも思っていた。


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