SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「扉の向こうから、見てたんだ。
向こうから見てたの、こっちからも見えてたし。」
「え…。」
「どうせ、教務室のカメラで俺たちのこと、監視してたんだろ?
裕木先生のこと、ずっと見てるからね、あの人。」
「そんなわけ、……。」
「じゃあ、本人に聞いてみたらいいじゃん。
付き合ってないのなら、ただのストーカーでしょ。」
「な、何、言ってんの…。」
イヤフォンを差しながら、八木君はもう、私を見ていない。
さっきまでの会話は何だったのかというくらい、真剣にプリントをこなす姿に、私はただ、茫然としてしまう。
大哉が、――――。
私を追いかけるなんて、そんなこと…。
あるわけ、ない。
あるわけ、ないんだから。