一番星

誕生日

9月22日。
今日はあたしの16歳の誕生日。
朝、あたしはカオルの電話で起きた。

「希空ッ!!誕生日おめでとう!!…とおはよう♪」

「おはよー…ありがとね」

「おう。じゃあ10時に希空ん家行くわ!!」


「了解ー。」

毎年あたしの誕生日はカオルが朝一番に電話してくれる。
あたしが寂しがらないように…。

自分の部屋から出て、水を飲む。

家族からは誰も祝ってもらえないあたしの誕生日。
毎月大金をあたしの通帳に入れるだけ。
一人で住む家はやけに広く感じさせ、孤独感が増す。

「…どーせあたしの誕生日なんか覚えてないんだろーな。」

自分で言ってて悲しくなる。
あたしだってまだ子供。
家族から祝ってもらいたいのに。
“生まれてきてくれてありがとう…―”
って…。

でもやっぱりそんな日は来なくて、
さすがあたしの両親。
最低な人間だ。


今日はカオルと毎年恒例誕生日デート。
少しでも気を紛らわせよう。
そうしてまたあたしは、
トモヤとカオルを利用するんだ。

大学生のカオルにつりあうように薄く化粧をして、ワンピースのうえにカーディガンを着、カオルの迎えを待った。
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