おててがくりーむぱん2

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これはただのデジタル情報で、インターネットを通じて目の前に現れている、ただそれだけなのに。彼の言葉だと思うと、愛しさがこみあげる。コンピュータの画面に映し出される孝志のメールを、指でそっとなぞった。


「会いたいよ」
「うん、すごく」


文字だけで伝える気持ちは、もどかしくて切ない。


いつごろ、この騒ぎは治まるのだろう。ネット上には相変わらず酷い言葉が連ねられる。孝志も事務所も無言を通しているので、世間は憶測で盛り上がる。でも何も言わないのが得策だ。今回流出した写真は、言い訳することのできないもの。ついでに光恵の評判がすこぶる悪い今、交際宣言をする訳にもいかない。


ただじっとして、嵐が過ぎ去るのを待つばかり。


「別れちゃえ」
「孝志を返して」


そんな言葉を目にすると、別れることが一番の解決なんじゃないかと思ったりする。


できない。
そんなこと絶対にできない。


孝志がいない人生を想像すると、凍えるような寒さを感じる。身体を流れる暖かな血液が瞬時に凍ってしまうくらい。


こんなにも彼のことを好きだったんだ。


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