おててがくりーむぱん2


やばっ。
まさか、ばれた?


光恵は「白鳥先生、こ、これは……」とどもりながらなんとか取り繕うとした。


「皆川先生、まさか、結婚すんの?」
白鳥先生が、絶望にも近い表情で、小さくたずねた。


「は、はあ」
「そんな……皆川先生だけは、浮いた噂もないし、大丈夫だと思ったのに」
白鳥先生ががっくりと肩を落とす。


孝志が小声で「大丈夫、ばれてない」と言った。光恵は「車のって、早く!」と孝志の腕を叩く。


「それも、こんな高級車に乗る男とだなんて……」
「はは、中古ですし」
「それでも、よ。今日はやけ酒だわ」
「そんなこと言わないでくださいよ」
「皆川先生の……裏切り者っっっーーーーー」


白鳥先生はくるりと背を向けると、夜の町へとかけだした。彼女のグリーンの背中が、どんどんと小さくなる。


「ああ、どうしよ……」
光恵は思わず溜息をついた。仕事を辞めるつもりはない。今の職場では独身で通そうと考えていたけれど、それは無理になってしまった。
結婚することが職場で広まったら、自然と相手はどんな人かと話題になってしまう。それはどうしても避けたかったのに。

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