木曜日の貴公子と幸せなウソ


彼はきっと、女の子が喜びそうなセリフをたくさん知っている。

だから私に、オマケのように言ったんだ。

あの後、サラッとキスまでしたし。


「……バカじゃん」


自分のバカさに、自嘲してしまった。

私がもっとオトナだったら、騙されている事に早く気づいたかもしれない。


……ううん。

先輩が私に告白してきた時点で、もっと疑うべきだったんだ。

やっぱりこれは、本気でなく遊びだったと。

卒業までのヒマつぶしだったんだと……。


背伸びして、手を伸ばしても届かない。

それは、当たり前の事だった。

だって、私と成瀬先輩は最初から、全然違う方向を向いていたんだもの。

同じ空間にいても、想いは全然違うところにあったんだ。


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