ちっぽけな距離
伝えたい
「あのさ、あず…」
「ん⁇」

うまく言えるだろうか。

いや、そんなのどうだっていい。

「俺…ずっとお前に…隠してたことがある…」
「隠してたこと⁇」
「ああ…あのさ…」
「うん」

あと少し。

「俺ね、あずのこ…」
「あれっ‼︎北見君‼︎⁇」

おいー‼︎‼︎

「あー…ども…」

誰だっけこの女の子。

てか、タイミング悪‼︎

空気読めよ。

「え、もしかして彼女さん⁇」

この女の子、確か前に駅でいきなり話しかけられた子だよな。

偶然かこれ。

しかも俺の名前覚えてくれてんのか。

「彼女って言うか…」
「彼女さん、超可愛いねっ」

人の話最後まで聞けー‼︎

こいつ絶対KYだろ。

KYでいじめられてたやつだろ。

「あの、なにしに…」
「なにしにって、私ここでバイト始めたのよ」

マジかよー

つか誰だよこの人。

めっちゃ親しげに話されちゃってるしー

あずの目もこえーし

「あ、あず」
「はい」
「…ここ…出ようか」
「…はい…」

すると

「もう帰るの⁇ゆっくりして行けばいいのにー」

『いや、あんたがいるからゆっくりもなにも出来ないから』

とは言えず…。

「ごちそうさん」

それだけ俺は言ってあずの手を引っ張った。
< 105 / 109 >

この作品をシェア

pagetop