ちっぽけな距離

梨花ちゃんと正面に座る。

「うー、食堂なんて初めてだよー」
「へー、そうだっけ⁇」

梨花ちゃんはさらっと答える。

「梓、なんか食べたいのある⁇」
「えっ、私⁇私お弁当があるし」
「そうだけど、なんかないかなって。私のあげるよ」
「えっ‼︎⁇本当‼︎⁇」
「本当、本当。もっと食って太れ」
「いっぱい食べてるよー‼︎」

これ以上ないってほど絶対食べてる。

「じゃあ私、適当に買って来るね」

そう言って梨花ちゃんは行っちゃった。

するとすぐに

「あれ…梓⁇」

と、後ろから声が聞こえた。

「霜月君⁇」

なんでここに。

てか。周りの女の子たちが見てるよ⁇

「隣いいかな⁇」
「いいけど、梨花ちゃんもいるよ⁇」
「いいよ」

そう言って霜月君は私の隣に座る。

「今日はどうする⁇」
「え⁇」

霜月君はそう言う。

「放課後」
「あっ、今日はねちょっと用事があるんだ」

京君とご飯食べ行くもんね。

「そっか。じゃあまた暇な時言ってよ」
「うーん、でも霜月君部活あるしー…」
「部活⁇ああ、そんなの良いよ」
「えっ⁇」
「ほら。今寒いしさ。俺寒いの苦手なんだよね」
「そうなの⁇」
「うん。だからそんなの気にしなくて良いよ。ま、今日は頑張って来るけど」
「そっか‼︎頑張ってねっ」
「ありがとう」

するとすぐに梨花ちゃんが来た。

「あ、霜月」
「お邪魔してるよ」
「邪魔が来たか」
「邪魔とは酷いな邪魔とは」

と、霜月君は笑いながら言う。

うわ…すごいな。

こんな人を女の子は皆好きになるのか。

「梓、これあげるよ」

梨花ちゃんがくれたのは唐揚げだった。

「やったっ、ありがとーっ」
「いいえー。…てか霜月。あんたご飯は⁇」

と、梨花ちゃんは霜月君に言う。

私はそのもらった唐揚げをかぶりつく。

「あー、俺もう食べて来たんだよ」
「じゃあなんで学食なんか来たの」

私は二人の会話を聞く。

「いや…ちょっとトラブってさ…」
「トラブった⁇」
「そう。教室で昼飯食ってたんだけど…途中で女の子達の軍団が来てさ。うるさかったから、逃げて来た」
「ふーん、そうなんだ」
「ま、全員が全員、俺ってわけじゃないよ⁇」
「え、違うの⁇」
「勿論。北見君には勝てないっしょ」

と、霜月君は言う。
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