狙われし姫巫女と半妖の守護者


「遅すぎなんだよ」

私の上にいる彼はむくりと起き上がり、声の主の方をきつく睨みつける。

「ごめんな、ちょっと烏天狗の手下どもにてこずって」

なにが起きているのはちっともわからない。

鉄骨は、彼が私を抱きしめてくれた時と同じ位置。

彼は普通に喋っていて、時間は止まってるわけじゃない。

「早く鉄骨の下から出ろ。七瀬の結界もそんなにはもたない」

着物の彼はわけがわからずにいる私を乱暴に引っ張って、鉄骨の下から出す。

ちょうど出たら背後でドスンと落下音がとどろいて、思わず悲鳴をあげた。

私の真後ろで、鉄骨が地面にうちつけられたのだ。

地面に横たわる人の身長よりもはるかに長い鉄の塊。

さっきは必死だったけれど、私たちはこれの下敷きになるところだったんだ。

そう思うと、背筋がぞくりとする。

「来るのが遅くなってごめんね」


< 113 / 568 >

この作品をシェア

pagetop