狙われし姫巫女と半妖の守護者


その時、バランスを崩して私は派手にすっ転んだ。

枝の散らばった地面に叩きつけられる。

私は切りキズだらけでひりひりと痛む手をつき、震えあがりながら身を起こした。

足に力を入れようとしても、もう棒のようで思うように動かない。

私は涙をぽたぽたと落としながら、辺りを見渡した。

生き物の姿なんてどこにも見えない。

夜の木々は、まるで巨大な壁。

月も見えないまっ黒な空はフタのよう。

木と木の間はとても濃い闇が広がっている。

私、閉じ込められたみたい……。

目に映るものは全部まっ黒。

心細くなって、声にもならない声が喉から出ていく。

たまに吹く風が、怪物の息みたいにごぉーっと音をたてて私の頬を掠めていく。

体を小さく丸めるけれど、怖さはなんにも拭えない。

イジワルをするように、葉っぱが揺れてざわざわと音をたてる。


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