狙われし姫巫女と半妖の守護者

裏切り者



*・*・*・*・*

襖の陰から見えた、高い位置にある白い肩。

震えて、そこで立ち止まっていた。

私は息をつまらせる。

頭の中を次々によぎるのは、お父さんの顔ばかり。

私が覚醒した日、九条琴弥に私もよく知る人だと聞いて、一番疑ってはいけない人を疑い続けてきた。

口から心臓が飛び出しそうだ。

手足が酷く震える。

私の足は畳の上を必死に這い、逃げようがないほど壁に背中を貼りつかせた。

逃げたい、見たくない、残酷な事実なら知らなくていい。

お父さんだったらどうするの。

頭の中にこだまする言葉。

私はあまりに恐ろしくて悲鳴をあげ蹲った。

けれど、響の大声がとどろく。

「ああ、面倒くさ。ああやって指図するとこ、マジいけすかねぇ。とっとと入ってこいよよ!」


< 438 / 568 >

この作品をシェア

pagetop