アイ・哀しみのルーツ【いのりのうた・十五歳の系図】
 昨日二人で出掛けたそうだ。
それが何処なのか見当も付かないけど、其処で二人の愛を確かめあったようだ。


(えっーー!? もしかして初体験? 綾ちゃんやるー!!)


違ったかな?

でも水野先生は、昨日彼女がヴァージンだって知ったって言っていた。


(って、やっぱり初体験したんじゃない?)

彼女の秘密を私にまで洩らしてしまうほど、水野先生は綾ちゃんにゾッコンなんだと思っていた。


クリスマス追い出した会の当日。
何があったのかは知らない。

でも水野先生がメロメロになってしまうくらい大変なことだったようだ。


お陰で、此方は大騒ぎだったのよ。
主役がトンズラしっちゃったからね。


担任の話だと、市民ホールには来たのはきたけど演技が出来る体力がなかったとか……
それって何?


本当に綾ちゃんのこと心配していたんだから。




 其処で決まったことは、携帯電話を持っていない綾ちゃんと水野先生の連絡方法だった。


綾ちゃんには、固定電話のベル。


三回コールなら私の家に伝言が預けてある。
のようだ。


それってナイスアイデアだって思っていた。




 でも……
綾ちゃんと私は毎日のように連絡を取り合うようになっていた。

だって、二人のことを根掘りは堀聞きたいし……


綾ちゃんとのたわいもないやり取りが私の心をワクワクさせてくれたから。


二人の恋をを知っている私は、応援したくて仕方なくなっていたんだ。




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