ビター・スウィート



「なし」



……が、現実はやっぱりそんなに甘くないらしい。

私のレポートを読んで、内海さんはバッサリとダメ出しをした。相変わらずの冷ややかな瞳と、ツンケンとした言い方で。



「な、なんでですか!?なかなか詳しく書いてあると……」

「あれこれ書きすぎて結局なにが言いたいのかがわからない。いらないところを省いてもっとわかりやすくまとめ直してこい」

「ぐっ……!」



思ったままをそのまま書き出していったのが悪かったらしい。内海さんはそう言うと私に書類を突き返した。

内容が少なければ『もっと詳しく』と言われ、これだと『わかりづらい』……もう、なんなの!



「あと相変わらず字が汚い。丁寧な字で書き直さないと受け取らないからな」

「えぇ!?」



字まで!?

この前の優しさはどこへ行ったのか。その言い方は厳しい。書類を受け取ると私はぶう、と頬を膨らませた。


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