ビター・スウィート




「ほら、出来た」



その後、展示会を無事見終えた私たちが、東京に帰るべく乗った新幹線の中。

行きと同様隣の席に座る内海さんは、先程100円均一で買ってきたニッパーや金具で直したブレスレットを私へと差し出した。



「す、すごい!直したんですか!?」

「運良く金具がダメになってただけだからな。ちょっとやればすぐ直る」



器用に直されたブレスレットはやはり元々よりは少し金具が歪んでしまっているものの、つけられる状態になっていた。



「あ、ありがとうございます……」

「もう壊すなよ」



そっと受け取る私に内海さんは私の頭をぽんぽんと撫でた。



……嬉しい。

大切なブレスレットが、もっと大切になった気がした。


ドキドキ、ドキドキとする度に、昨夜の名前がより強く心を刺すよ。






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