カルチャー
「アイタッ!」

上川が床に後頭部をぶつけて両手で頭を抱えているすきに、私は走って玄関へと足を向かわせた。

ガチャッとドアを開けると、いつも家に荷物を届けにくる宅配便のお兄さんがいた。

「ここにサインをお願いします」

彼から渡されたボールペンでサインを書いた。

「はい、荷物ですね。

では、ありがとうございましたー」

「ご苦労様でーす」

走り去って行った宅配便のお兄さんの背中に向かって、私は声をかけた。

届いたばかりの荷物を家の中に入れると、
「何それ?」

上川が聞いてきた。

「故郷からお米が届いたの」

そう答えると、荷物をキッチンに置いた。
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