キスから始まる方程式


「あ……りがと……」

「あぁ」



消え入りそうな小さな声で、ようやくそれだけ絞り出す。




けれど……



工藤さんとはどんな関係なの?



今まで二人でどこで何してたの?



どうして……何も言ってくれないの……?



聞きたいことは山ほどあるのに、本当のことを知るのが怖くて何ひとつ言葉にすることが出来なかった。



手を伸ばせば……すぐそこにいるのに……。



今すぐにでも桐生君に触れて安心したいという衝動を無理矢理抑え、机の下でギュッと拳を握りしめる。


いつもよりも近い距離にいるせいか、私の右半身がジンジンと熱くなり目の前がクラリと歪んで、結局教科書の文字も先生の声もほとんど私の中には入ってこなかった……。

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