ラベンダー荘(失くしたものが見つかる場所)
「みんな」

 私は可笑しくなって笑いながら言う。

「なんだか、顔が違うよ」

 信也、アキラ、かおり、私。

 それぞれが互いの顔を見合わせる。

「ほんとだ」

「でしょ?」

「顔だけやせた?」

「うーん、雰囲気が違う?」

 そこへ、後ろから康孝がラムネのビンを持って現れた。

「余計なものが体から出たんだよ」

「サイダーだ!」

 信也とアキラが康孝の腕から、水色のラムネをひったくる。

「そこの売店で一本300円で買った。」

「高!」

 康孝は私とかおりにもラムネを渡す。

「途中の自動販売機の値段が、上に来るほど高くなってたのに気づいてたか?」

「ああ。これが最後の自動販売機だったら?ってびくびくしてた。」

 カコンっ

 信也がラムネの蓋を使って、栓代わりのビー玉をビンの中に押しやった。

 プシュー
「おわああああ」

 ビンから白い泡があふれ出す。

「信也のだけ振っておいた」

 康孝がにやりと笑う。

 カコンっ

 アキラは慎重に蓋を押した。

 シュワシュワシュワー

 カコンっ カコンっっ

 私とかおりもやってみる。

 プシューーー
「「きゃああ」」

「はやく、飲めのめ」

 康孝は自分のラムネに口をつけながら、わたしとかおりに促した。

 全員でラムネのビンを傾けながら、飲む。

< 76 / 92 >

この作品をシェア

pagetop