【長】野球ボール
「こうやって帰るの…なんだかすごい久しぶりな気がするね」


一輝と二人きりの帰り道。


「そーだな。つか、これから叶夏を送れなくなるな…」


そっか…。

すごく寂しいけど、わがまま言ってられないよね。


「リハビリできるようになったら、病院閉まる前に帰らなきゃなんねぇけど…まだギプスの内は何もできねぇし、毎日部活に顔出すわっ」


「ほんと!?」


そんな小さなことさえうれしく感じる。




「俺、ケガしてちゃ何にもできねぇと思ってた。でも今日ずっと練習見てたじゃん?普段は見えねぇことまで見れた気がする。手動かせねぇ分、口でも動かすかな」


「あはは♪じゃあ皆走ってばっかになるね」


「足は何ともねぇからな、体力落ちねぇように俺も走りてぇなー」


「コラ!!まだダメでしょ!!走ることは、腕振らなきゃならないからダーメ!!」


無理をしないように止めるのはあたしの役目だし。


「えぇーまじで?」


「絶対禁止!!一輝はとにかく牛乳飲んでなさいっ」
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